生活や資金計画、税金対策とメリットたくさん!注文住宅を二世帯住宅にする、という選択肢

life 2018.10.12

マイホームを持ちたい。それも注文住宅で……。そんな理想を描く多くの家族にとって、経済面での現実との壁は低くはありません。しかしそれを乗り越えるための一つの方策として「二世帯住宅」が注目されています。コスト削減、税金優遇、そして家族内の世代間交流とメリットが多い住まいのあり方として、ぜひ検討したいチョイスです。

親世帯と子世帯が住まいをともにする安心感

国土交通省が2013年に調査したデータにより、東日本大震災以降に「親、子などとの同居・隣居・近居」を目的として住み替えをした人の割合が増えていることがわかりました。大きな災害に直面して、人生で優先すべき事柄の上位に「家族の絆」を位置付ける家庭が多くなったことが、その理由として考えられます。また、なかなか解消されない待機児童問題に悩む共働き世代と、将来体力的な不安がある親世代のニーズが合致するなど、社会的な背景がそこにはあるのかもしれません。

もちろん、経済的なメリットも少なくありません。通常、注文住宅では土地と建物を別々に検討し、別々に購入計画を進めます。しかし親世帯が持っている土地に二世帯住宅を新築するのであれば、土地を新たに購入する必要がなく、その分の費用が大幅に削減できます。これを建物の建築費に回すことで、より理想に近い間取りや設備が整った住まいを手に入れやすくなります。
親世帯が古くから住んでいる土地は、通勤や買い物の便がいいといった、今ではなかなか手に入りづらい好立地であることも多いです。親世帯の土地にマイホームを建設することは、より快適な生活環境を得るという意味においても有意義といえそうです。
また住まいが完成し、同居生活が始まったあとでも、光熱費などの生活費が削減できたり、建物や設備のメンテナンス費用を分担できたりというメリットも見込むことができます。

相続税や固定資産税などの軽減措置にも注目

二世帯住宅という選択は、「節税」という面でも大きなメリットがあります。
まずは相続税。2015年の税制改正で、相続税の基礎控除額の見直しが図られ、それ以前は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」だったものが、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という計算式に改められたことで、相続税の課税対象となる世帯が大幅に増えてしまいました。
そこでこの税制改正では、「小規模宅地等の特例」を改正することで、2世帯住宅に住む人対象で課税の緩和を行っています。これは相続する土地などに対して、配偶者や同居する家族にかかってくる相続税を、一定の面積まで80%軽減するというものです。従来は建物内で行き来できる形状の二世帯住宅、つまり2つの世帯を繋ぐ階段や廊下がある場合にのみ「同居」とみなされ適用されていましたが、これも見直され、構造上完全に区分された住居であっても適用されるようになったのです。

では、この改正後の「小規模宅地等の特例」が、どのようにメリットを与えてくれるのか、「Aさん一家」を例に具体的にみてみましょう。

●Aさん一家
 家族構成:父・母・長男(二世帯住宅に同居)
 財産:自宅(土地評価額5,000万円)+ 預貯金2,000万円

Aさん一家の父が亡くなり、配偶者である母と、二世帯住宅に同居している長男が財産を相続する立場となりました。その場合の相続税の基礎控除額は

 3,000万円 + 600万円 × 2(人)= 4,200万円

となり、自宅の5,000万円と預貯金2,000万円の合計から4,200万円を引いた2,800万円に対して相続税がかかります。

しかしAさん一家の場合には「小規模宅地等の特例」が適用されるので、自宅の評価額は

 5,000万円 - 4,000万円(80%)= 1,000万円

と減額されます。したがって、相続税の対象が1,000万円+2,000万円 = 3,000万円となることから基礎控除額を下回り、相続税がかからないことになります。

税制上のメリットはさらにもう一つ。二世帯住宅のうち

 ・各世帯が壁やドア等で遮断されており、構造上独立しているもの
 ・専用の玄関や台所、風呂などを備えており、利用上独立しているもの

といういわゆる「完全分離型」の場合には、固定資産税や不動産取得税などの軽減措置を二戸分として受けることができます。

例えば固定資産税評価額に3%をかけた金額を納税しなければならない不動産取得税には、1,200万円の控除がありますが、それが2世帯分の2,400万円とすることが可能なのです(ただし、どちらの世帯ともに床面積が50㎡以上必要)。

税制上のメリットに加えて、二世帯住宅を取得する際の資金計画でも得をすることが考えられます。多くの場合、マイホームを購入する・建てるという場合には住宅ローンを組むことになりますが、二世帯住宅の場合には親世帯、子世帯で協力してそれに当たることが可能なのです。
頭金は親世帯がキャッシュで支払い、住宅ローンは子世帯が組むというような方法もありますし、二世帯住宅ならではのローンの組み方もあります。例えば「親子リレーローン」。ローン開始当初は親世帯が返済し、そのあとで子世帯がローンを引き継ぐという方法で、親が高齢であっても条件が緩和され、長期のローンを組むことができるというメリットがあります。
また「親子ペアローン」という方法では、子世帯の収入が少ない場合であっても、それに親世帯の収入を合わせることで、通常より高額の資金を借りることができます。しかも区分登記であれば返済は親子別々に行うので、双方で住宅ローンの控除を受けることもできます。

もちろん注意すべき点も…。

いろいろなメリットがある二世帯住宅。ただしその実現に際しては、いくつかの注意すべきことがあります。

まずは、住まいを誰の名義にするかという問題。先述の「小規模宅地等の特例」は、完全分離型の二世帯住宅にも適用されるようになりましたが、親世帯と子世帯とで登記が分かれている区分登記のケースでは子供は同居扱いにはならず、相続税が増えてしまうことがあります。

またお互いの世帯のプライバシーの確保や、家族や将来に対する考え方の違いなど、いくら「親と子」であっても別々の家庭であるという現実を踏まえた計画の立案が必要です。事前に考えられるさまざまな問題を、ざっくばらんに家族間で話し合っておかなければ、後々感情的なトラブルに発展し、せっかくの同居計画がマイナスになることもありえます。

さらには、同居しない親族(きょうだいなど)との合意形成も必要です。同居する親の介護問題や相続問題で揉めることがないように、ルールづくりとその共有は欠かすことができないでしょう。

このように多くのメリットがある二世帯住宅。住まいづくりのひとつの有効な選択肢として、検討してみてはいかがでしょうか。

ルカーサデザインでは二世帯住宅建築のノウハウがあります。是非、ご相談下さい。

(この記事は2018年10月時点の税制をもとに執筆しています。)

Architect Interview

大松 篤郎 西川 大祐
LUCASA DESIGNHEAD OFFICE・杉並ショールーム

〒168-0081 東京都杉並区宮前5-19-1
tel:03-5336-6895 fax:03-5370-1380